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「告白」 [松さん]

「本日の1本」

「告白」

開いたら最後、一気に読ませてしまう力を持った小説告白

昨年発表の作品が早くも中島哲也監督の手によって映画化され
主演は松たか子が演じると聞いてからの期待感はハンパじゃアリマセンでした
大きな話題と期待が膨らむ中、封印しているにも拘らず、劇場に足を運んでしまいました

「独白で綴られる物語を、監督はどう演出するのか?」
注目はソノ一点と言っても過言ではアリマセン
自分本位の語りから浮かび上がる負のエネルギー満載の物語
監督は読んでいる人間の頭に浮かんでいるであろう場面を
軽やかに描き出してくれました







ガヤガヤしている劇場内
オープニングの教室とまでは行きませんが、緩い空気が流れている場所で上映が始まりました
松さん演じる森口先生の告白から始まる物語は、小説とマッタク同じです
気のない生徒達が映し出され、無表情の教師とのコントラストの中
衝撃的な言葉から、クラスが一変するその時でした
劇場内の空気も一変したのです
ガサガサ音を立てて食べていた人、だらけた姿勢で見ていた人
それぞれの楽しみ方で劇場にいた人たちが、スクリーンに釘付けになる瞬間を
ホントに久し振りに目の当たりにしました
コノ部分だけでも、監督の勝利だったと思います
ソコからは怒涛の映像美で語られる哀しい人間の物語に
息をするのも忘れているんじゃないかと思うくらい作品に集中していました

告白(独白)を映像化し、間に監督独特の映像をインサートしながら
ドコか歪んでしまっている人たちの姿を見続ける時
現代社会の恐ろしさと同時に、ワイドショーを楽しむような感じで見ている自分もいることに
チョットだけ、寒気がしたことも事実です
「復讐の連鎖」が正しいわけはないし
「コドモだから」で済まされる事でもないとは分かっている自分もいますし
「人のせい」にばっかりする現代人の情けなさも理解しているつもりです
デモ、ココで描かれている人たち全てに感情移入が出来ず
違う世界での出来事のように感じてしまっているのは
ボクがお気楽に人生を生きているからでしょうか
主要人物以外の生徒達に際立った場面を持たすことを極力押さえ
その他大勢的な映し方に徹した演出も手伝い
「リアリティがない」なんて陳腐な感想で締め括れないほど
描き出されている「学校」「家庭」「社会」は恐ろしい姿をしています
恐ろしく直接的な感情しか持たない登場人物たちは
理性とかを超越した本能のままの自分をさらけ出してきます
「殺されたら、殺す」「捨てられたら振り向かせる」「言われたら言われたとおりにする」
「どうしよう」とか、間の感情がなく、いじめの対象を探す過程なども含め
初期衝動だけで動く人々の姿が、ジワジワと体の中に重たいものを残してゆきます
ソンナ感情をスタイリッシュな映像で繋ぎ合わせてゆく監督の手腕は
絶えず鳴り続けている、様々なジャンルの音楽と相まって
過去の監督作品にも見え隠れする「映画っぽくない映画」の世界観は
コノ作品にも顕著に現れています

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「命」の大切さを教えるHRから始まる物語なのですが
作品の中で描かれる「命」は、ほとんどが単純に「物」としか扱われません
登場人物の感情のみで弄ばれる「命」
「愛がすべてさ」なんて言葉では語れない
歪で哀しい「命」の物語が進んでゆきます
ナンテ説明してよいのか分かりませんが
トンデモナイ映像世界に仕上がっています

ソンナ世界の中で演技をしている役者さんたちの演技がスバラシく
特に生徒達の演技(演出)は目を見張るものでした
平気で嘘をつき、ネットを利用しイジメを行い
大人より頭がイイと信じて疑わない思春期特有のコドモじみた考えが
一つ一つのシーンにウマク描かれています
ソコに絡むベテランの役者さんたちが演じる大人たちの姿
コドモじみた理念を持つコドモに翻弄される大人たち
教師を続けてゆく自信がなくなったもの、息子を殺そうと決めた母親
信じて疑わなかった者に裏切られた大人たちが本気を出した時に起こる悲劇が
いくつも描かれた後に、森口先生の復讐でクライマックスを迎えます
大人が本気を出して「なめんなよ!」と起こした行動(復讐)は
見る(読む)者に、トンデモナイ後味の悪さを残します
コレは小説でも映画でも同じでした
シカシ
映画では、モノスゴイ重要な一言が付け加えられており
イマまでの展開をひっくり返すぐらいの衝撃が待ち構えていました
「うそだよ~ん」とも「生きるってことは、ソンナ生易しいものじゃないよ」とも取れる一言
エンドロールが流れても、誰一人席を立たなかったことを考えても
トンデモないラストシーンだと思います
「日本映画の持つ力をマザマザと見せ付けられた」
ソレ位衝撃的な作品でした

最後に女神について・・・

オープニングシークエンスでの松さんもスバラシイのですが
後半登場する女神の演技は、イマまでのキャリアを集大成したと言っても過言ではアリマセン
多くの才能アル演出家の舞台を経験してきた女神は
トンデモない演技でボクの気持をスクリーンに集中させます
無表情の裏に潜む怖いまでの美しさは、ナカナカ表現できるものではないと思います
唯一感情を爆発させるシーンの後に、アッサリと普段に戻る姿や
ラストで見せる表情のナントいう美しさだけをとっても
多くの方たちに見てもらいたいと言う気持でイッパイになります
見ている途中からボクは「親切なクムジャさん」の
イ・ヨンエさん演じる「クムジャさん」と女神がズイブン重なりました
娘の為の復讐と言う点でも共通点がありますが
無表情に潜む美しさからも同じような感情が見て取れます
復讐が終わった時に見せる二人の表情にも共通点があり
言葉では表現できない、ナントもいえない表情が心に引っかかってきます
女神はコノ作品を見たことがあるのか?気になりますね
とは言え、コレだけの作品を引っ張ってゆく彼女の演技は
好き嫌いを抜きにして、ホント、多くの方に見ていただきたいと思います
イマまで見たことのナイ松たか子がいます



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コメント 2

non_0101

こんにちは。
早速、チャレンジしたのですね。
凄い作品でしたね~ 衝撃的で見応えがありました。
映像も松さんの演技も圧倒的でした。
上映中にもう一度観に行きたいです☆
by non_0101 (2010-06-12 15:08) 

魚河岸おじさん

>non_0101さん
おはようございます
スゴイ作品でしたね
久しぶりにDVDで欲しくなりました
中島監督BOX発売しないかな・・・
niceアリガトウございます

>モッズパンツさん
niceアリガトウございます

by 魚河岸おじさん (2010-06-13 10:14) 

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