「空気人形」

「本日の一本」

「空気人形」



人間を描く

と言うか

日本人を描かせたら、たまらなくスバラシイ作品を作り出す是枝監督
「誰もしらない」「歩いても　歩いても」「花よりもなほ」
忘れられない作品がタクサンあります

「是枝監督がぺ・ドゥナ主演で新作を撮っている」と聞いてから
不安と期待が膨らみまくっていました
出来上がった作品は、業田良家原作の短編と聞き
益々期待が高まったのは言うまでもアリマセン
心を持ってしまったダッチワイフ（空気人形）
彼女の目を通して見えてくる現代人の孤独
無垢な心に映る現代社会の縮図を追いながら
人を愛すること、人と繋がることの
スバラシサや面倒くささ
日常生活の退屈さと満足感
老いを迎えることへの安心感と恐怖心
埋まることのない欲望など
様々なものが見え隠れしてゆきます

感想はそれだけで終わりにしたいほど
ステキでスバラシイ作品でした

ファーストシーンの息を呑む美しさから始まる大人（現代人）の寓話は
衝撃的な題材にもかかわらず
美しいカットの連続で、心に穴が開いたものたちへ
いつまでも空気に見せた感情を送り込んでゆきます

人間になりたい人形は、会う人それぞれの埋まらない心をまねして
様々なことを試してゆきます
ソノくだりが、トテモ辛く見るものに突き刺さってきます
真冬の朝の空気感というか、張り詰めてクリアな空気が充満している画面の中の世界
「彼女が通り過ぎた後は、気温が少し上がっているのでは」と思わせる映像も
コノ作品が持っている魅力の一つだと思います
見覚えのある景色なんですが、日本では無いようにも見える景色
ソコで語られる哀しい人たちの物語は
裏を返せば自分たちの物語になってしまう事を静かに作品は語ってくれます
日常にある美しさ
普通すぎて、忘れがちな光景や人の温かさに触れたり
優しいはずの人が、とんでもない人間だったりする残酷さも含め
コノ作品は、静かに、ホントウに静かに美しく描き出してくれています
「キット何度も見返してしまうだろうな」と思わせてくれる作品でした

最後に、大好きなぺ・ドゥナちゃん
スバラシすぎて言葉になりません
彼女の魅力爆発は言うまでもアリマセンが
ヨクゾ！ココまでの演技をしてくれました
マルで幼い娘のように、見るものスベテが新鮮に映る感動を
クルクルとした目だけの演技も含め圧巻のパフォーマンスでした
彼女は世界に出ないのかな・・・・
ヨーロッパの監督作品なんかでは、イイ味が出ると密かに思っています
「体当たりの演技」ナンテ言葉が陳腐に感じるくらいの演技
ホントウにステキデした

空気人形 [DVD]

• 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
• メディア: DVD

空気人形 豪華版 [DVD]

• 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
• メディア: DVD

コメント 2

>「体当たりの演技」ナンテ言葉が陳腐に感じるくらいの演技
同感です。
彼女は本当に魅力的な空気人形そのものでしたね。
>「彼女が通り過ぎた後は、気温が少し上がっているのでは」と思わせる映像
ああ、わかります。こういうことだったんですね。
私はその感じを上手く表現できず、今納得した感じです。
by Sho (2010-09-18 10:19) 

＞shoさん
ぺ・ドゥナちゃんが可愛らしくて・・・・
物が心を持ち歩き出した世界
監督はホントウに美しく描き出してくれました
ソノ裏にある現代社会の病んでいる部分
表裏一体の世界観がタマラナクスキな作品です
niceアリガトウございます

＞モッズパンツさん
niceアリガトウございます
by 魚河岸おじさん (2010-09-20 10:13)